自白……供述調書
「でも、貴女が受けた調書では、10㎝の幅はあるにしても具体的な数字が書かれていますね。
 もう一度思い出して下さい。調書を作成してた際、どんな質問のされ方、そしてどう貴女が答えたかを……」

「確か、別な刑事さんが呼ばれて……それで、『これ位の身長ではありませんでしたか?』と聞かれました」

「続けて下さい」

「私は、もう少し小さかったと答えたんです。すると、目の前の刑事さんが、別な方を呼ばれて…女性の刑事さんだったのですが、その方を指して、『どうですか?一応の目安で構いませんから』と言われ、私は体格の違いとかはありますが、近いかな、て……」

「低く?それとも高く?」

「もう少し高い人だったと言いました」

「それで?」

「その女性刑事さんが158㎝位だとおっしゃって、それを基準にしてプラス10㎝位の体格の人だねって、言われました」

「成る程、判りました。証人、ちょっと立って頂いて構いませんか?」

 森山は、更に目の前の長椅子に座っていた木山を立たせた。

「貴女と、こちらの立って頂いた男性との間隔なんですが、貴女が目撃された不審な男性との距離と、どうでしょう、同じ位ですか?」

「もう少し離れていたかも知れませんが、概ねこれ位ではなかったかと……」

「確か、その時は道の端と端ですれ違ったという事ですよね?
 すると、この間隔よりもう気持ち離れた感じでしょうか?」

 そう言って、森山は木山の両脇に居た刑務官に少し離れるように指示をした。

「どうです?」

「あ、はい……」

「多分、貴女の記憶ではこんなに離れてたとは思ってませんよね?
 ですが、実際に貴女がすれ違ったとされる道幅からすると、これ位の距離なんです」

 森山は、一つ大きく深呼吸をした。

 木山を元の位置に座らせ、尋問を続けた。





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