自白……供述調書
 間中邦弘を特定出来たのは大きな進歩だが、問題なのは、実際にこの人物が光が丘の事件に関与してるかどうかを裏付けなければならない点だ。

 任意同行を求め、署で調べるにしても、間中を落とすだけの有力な手掛かりが必要であった。

 その点に於いては、本間は楽観していた。

 実は、証拠保全の為、外部には発表していないが、被害者の室内から被害者とは別の血液型の血痕が確認されている。

 更に、遺留品の中に数本の髪の毛も採取されていた。

 DNA鑑定した結果、被害者以外の該当者不明の毛髪が四本含まれていた。

 そのうちの二本が同一人物の物である事も判っている。

 そして、微量の血痕とこの二本の毛髪が同一人物の物である事も。

 後は間中のDNA鑑定をする為に必要な物を手に入れればいい。

 以前、住んでいた所は別な人間が住んでいるから、家宅捜査は意味が無い。尤も、本部が解散し、捜査が打ち切られた今では、ガサ入れをするにしても裁判所から許可が下りないであろう。

 荷物の大半を置きっ放しにして職場を辞めた間中だったが、その荷物も新聞販売店に全て処分されてしまった。

 となれば、直接本人の物を採取するしか無いが、これもやり方を一歩間違えると、法的に証拠として認められなくなる。

 本間は、阿久根に相談する事にした。これから先は、更に難しい局面になる筈だ。それに、このところの監視の件も伝えた方がいいだろう。

 そう思い、本間は自分の机で調べ物を装い、阿久根が署に戻って来るのを待っていた。

 阿久根係長は朝から佐藤刑事と引き渡り(被疑者を同行しての現場検証)に行っていた。





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