自白……供述調書
「明日にでも別なメモリースティックに捜査資料移しときます……」

 とは言ったものの、署の机に残して来たメモリースティックもやられてる可能性はある。

 物事を余り悲観的に捉える方では無い本間だったが、さすがにこの時ばかりは気が滅入った。

 阿久根はある事を考えていた。

 杉並署と練馬署の署長は、先輩後輩の関係である。

 始まりを辿ると、長野県警の本部詰め当時からの関係で、その後、神奈川県警で再び本部詰めになっている。

 キャリアとしての履歴は杉並署の署長の方が上だ。

 その関係があったが為に、光が丘の事件の際、練馬署が本部を構えていたにも関わらず、事件そのものを持っていかれた。しかも、自供したという容疑者の取調べにすら、練馬署の捜査員は立ち会わせて貰う事も出来なかった。

 阿久根達の直属の上司である課長は、署長の後輩であり、仲人だ。

 確か、杉並署で木山悟から自供を聞き出した係長も神奈川県警出。

 神奈川県警……

 神奈川県警……

 神奈川の前は長野……

 長野県警……

 やっぱりそこで思考回路が止まる……

「サトちゃん、あのカルト教団の無差別殺人、あれ何年前だっけ?」

「突然どうしたんです?松本のですよね、平成6年の12月だったから、かれこれ15年近くになりますね」

「あん時の県警本部長、覚えてるか?」

「川村本部長っす。今の警視副総監……あっ、チョーさん!?」

 何かを思い出した佐藤刑事がいきなり大声を出した。








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