自白……供述調書
「ご自分で、一私人としてっておっしゃってましたわよね、でしたら、何もかも腹を割って話して頂けませんか?
じゃなければ、私達も協力のしようがありません」
はっきりと強い口調で、そう言い放った野間口妙子の目を、阿久根はじっと見つめた。
「判りました。先程のお約束を守って頂けるのでしたら……」
「阿久根さんから伺ったお話しを公判での材料にしないという事ですね?
お約束します。書面にでもしますか?」
「そこ迄しなくとも、まあ、此処に来た時点である程度の背景をお話しせねばとは思ってましたから。では、順を追ってお話しします。
我々は、早い段階である人物を容疑者としてマークしてました。勿論、木山ではありません。その人物は、被害者とも接点があり、犯行動機もストーカー行為の延長線上とみなせば充分説明がつきます。それに、木山よりも明確な物的証拠も掴めました。任意で引っ張れるだけの確たるものです。
ですが、ここで一つの問題が生じました。木山悟の自供に基づく逮捕です。この時点で捜査権限が我々から杉並署に移り、それ迄の捜査資料は勿論、容疑者としてマークしていた人物についても、捜査対象から外れてしまったんです。この辺は、警察内部の見解の相違もあり、初動段階から捜査に当たっていた現場の刑事達は皆、忸怩たる思いを抱いていたのです。そこへ、一転して木山の冤罪主張です。
我々は、さあこっちの番だと一時思ったのですが、本庁からの指示もあり、そのままでした。そんな中、私と一緒に捜査に当たっていた刑事の一人が、独断で最重要容疑者としてマークしていた人物の捜査を継続していたんです。結果、つい最近ですが、更に重要な物的証拠を掴んだんです」
「DNAがどうのこうのというのは、その人物のDNAが現場の遺留品と一致したという事なんですね?」
「そうです」
「ならばそれで容疑者を調べればいいじゃないですか!」
「森山さん、事は複雑でそうは簡単に行かないんです。」
阿久根はその理由を淡々と話し始めた。
じゃなければ、私達も協力のしようがありません」
はっきりと強い口調で、そう言い放った野間口妙子の目を、阿久根はじっと見つめた。
「判りました。先程のお約束を守って頂けるのでしたら……」
「阿久根さんから伺ったお話しを公判での材料にしないという事ですね?
お約束します。書面にでもしますか?」
「そこ迄しなくとも、まあ、此処に来た時点である程度の背景をお話しせねばとは思ってましたから。では、順を追ってお話しします。
我々は、早い段階である人物を容疑者としてマークしてました。勿論、木山ではありません。その人物は、被害者とも接点があり、犯行動機もストーカー行為の延長線上とみなせば充分説明がつきます。それに、木山よりも明確な物的証拠も掴めました。任意で引っ張れるだけの確たるものです。
ですが、ここで一つの問題が生じました。木山悟の自供に基づく逮捕です。この時点で捜査権限が我々から杉並署に移り、それ迄の捜査資料は勿論、容疑者としてマークしていた人物についても、捜査対象から外れてしまったんです。この辺は、警察内部の見解の相違もあり、初動段階から捜査に当たっていた現場の刑事達は皆、忸怩たる思いを抱いていたのです。そこへ、一転して木山の冤罪主張です。
我々は、さあこっちの番だと一時思ったのですが、本庁からの指示もあり、そのままでした。そんな中、私と一緒に捜査に当たっていた刑事の一人が、独断で最重要容疑者としてマークしていた人物の捜査を継続していたんです。結果、つい最近ですが、更に重要な物的証拠を掴んだんです」
「DNAがどうのこうのというのは、その人物のDNAが現場の遺留品と一致したという事なんですね?」
「そうです」
「ならばそれで容疑者を調べればいいじゃないですか!」
「森山さん、事は複雑でそうは簡単に行かないんです。」
阿久根はその理由を淡々と話し始めた。