自白……供述調書
 夢を見た。

 あの夢だ。

 思わず布団を跳ね退け、私は夢と現実の確認をする。

 はっきりと自分でも判る位に動悸がしている。

 脂汗が下着に纏わり付き、気持ち悪い。

 狭い独居房を包む澱んだ空気が重くのし掛かり、まるで私の心を押し潰すかのようだ。

 ヤカンに貰い置きして置いた茶をプラスチックのコップに注ぎ、口に入れたが、生温さで具合が悪くなり、便所に吐き出した。

 治まらない動悸。

 じっとりと纏わり付く脂汗。

 書きかけの罫線用紙が目に入った。

 私は布団の上に座り直し、小机を引き寄せた。

 ボールペンを握ると、私は一心不乱となり、あの日の事を書き始めた。






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