喫茶人形 〜メイドの恋〜






「…ユキナ」


心配そうに覗き込んで来る
少し茶色い瞳と
男の子っぽい、優しい声


「――… リョ…スケ」


「心配すんな
ここ、公園の裏にある
俺のアパートだし」



電気が消されたままの
本当に必要なものしか無いみたいな
とても殺風景な部屋


テーブルの上に
外からのネオンが反射して
赤や青に点滅してる



「…なんで…助け…?」



私は…

誰にも言わずに外に出たのに…


…破れたブラウス

すりむけたヒザ…



「…何もされてない 安心しろ」


私の質問には答えず
ただそれだけを言って

頬を伝う涙を
リョウスケの指が
優しくふいてくれる…


…怒りに歪んだ、リョウスケの眉



ごめんね…


私のせいだ…




「…リョウスケ」


「――… ん?」





< 123 / 391 >

この作品をシェア

pagetop