喫茶人形 〜メイドの恋〜
ステージの上のヨルは
すぐにわかって
いつのまにか
手に渡されていた水を
一口飲む
…少し苦しい
ダンスが終わって
今度はDJの人が出て来て
なにかしゃべってる
ユイファさんを捜すと
たくさんの男の人たちに囲まれていて
盛り上がっていたから、声はかけずに
入口のほうへ、一人向かった
「――… この店
一回出ると、再入場不可だから」
少しあがった呼吸と、胸元に汗
私を引き止めた腕には
…見覚えのあるバングルと指輪
「ヨル…」
「上から見てて…すぐにわかっ…俺…
暑いなら、裏…行かねえか…?」
困ったように笑う顔に
首を横に振る
「は…
あんなことした後だし、当然か
んじゃ、ひとけあるとこ
ちょっと座って、話しよ…」