喫茶人形 〜メイドの恋〜



「…ユキナぁッ!!」


「ユイファさん…」


赤い絨毯の入口を出て
少し湿っぽい空気の外に出ると
靴のかたっぽないユイファさんが
公園の影から飛び出して来た


「ごめん…ッ!!
わ…私ッ 助け呼ぼうと思って…ッ
でも、誰に知らせていいか…ッ」


「大丈夫だよ ユイファさん」


「だ…だって
『箱入り』もすぐなのにあんな事…ッ


――…ねぇ

なんか変じゃない?!
なんかこの『箱入り』
やめたほうがよくない?!

もういろいろ起き過ぎだよ…ッ

な…なんなら私が
アサノさまに言ってあげるから…!!」


「――― 私 『箱入り』するよ」


「…ユ…ッ」




心が 硬くなって
とても冷たくなってる…


だから

つらいとか、悲しいとか
そういう気持ちも


ツルツルどこかに滑って行って
消えてなくなっちゃったのかなぁ…




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