喫茶人形 〜メイドの恋〜
私は…
トイレに行くと言って
控室に、一度もどった
なんだか頭の中がぐるぐるして
…クラブでの出来事より混乱してる
真っ暗な部屋…
鏡の前にすわってる自分…
カタン…と
後ろで音がした
鏡の中で目が合ったのは ―――
「…リョウ スケ」
「戻ってくるの遅いから
見てこいって」
「ぅわッ…
そんな時間たってる?!」
「どうした?」
「――… え…」
「…かわいいな そのドレス
前の長いやつより、似合ってる」
「あ…」
腕を組んで
壁にもたれ掛かっていたリョウスケが
あの明るい笑顔を見せながら
私に向かって歩いて来た
私もイスから立って
リョウスケのほうに、体を向ける
「それより気になってたんだけどさ
…アサノさま、どうしたんだ?
こんな日なのに来てないだろ」