喫茶人形 〜メイドの恋〜
開かれたドアの奥は
古いけれど、予想外にキレイだった
畳の床に
正面には、下から見上げた窓
今リョウスケが カラカラと開けてる
「――…座りな
今ふとん出すから待ってて
寝てないし
―――… 疲れたろ?」
「…ううん …大丈夫」
「…ごめん」
「えッ…」
私は動揺した…
もしかしたら、リョウスケは…
後悔してる…の…?
「あんな場所で…
あいつに言ったこと、説得力ねえな…」
あんな場所…?
あいつにいったこと…?
最初は
なんのことかわからなかったけど
…リョウスケの手と
途中で飲んだ紅茶の香りが
私の唇と体を包んで…
初めてリョウスケに触れた
あの公園での夜を、やっと思い出した
「…リョウスケ …大好き」
――… 女の子は…
好きな人にだったら…――
そう続けようとした言葉は
優しく繰り返すキスに
すぐ押し込められてしまう…
「…知ってるよ」