喫茶人形 〜メイドの恋〜



今まで感じたことのない
不思議なきもちを抱きながら
街灯の照らす、夜道を歩く


遠くから犬の声と
自分のサンダルの音がするだけ…


近所の雑居ビルばかりのとこから
大通りに抜けると
すぐに世界は、ネオンで明るくなって
私は少しだけ、ホッとなった…


夏休みの頃より
夜の道ぞいに、座ってる子たちが
増えてる気がするのはなんでだろ…




大きなドラッグストアで
一番効きそうな感じのシップと
妊娠がわかるやつを、そっと手にとった


…レジに持って行く時
すごいとまどって…
一回、二階にあがった…


あ…

好きなとこのグロス
新しいの出たんだぁ…


結局
女の子たちしかいない
コスメコーナーのところで
十分くらい自分も
ウロウロしてしまった…




恥ずかしいわけじゃなくて…
ふわふわした感じと、緊張に似てる
なんだか、よくわからない気持ち…


お腹にいるのは…
リョウスケと私の赤ちゃん…


レジはこんな時間なのに
お客さんで、ずっと混んでる


無意識にお腹をさすりながら


列の 一番後ろに


一歩、足を進めて並んだ





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