喫茶人形 〜メイドの恋〜
賑やかなとこに行って
気分が明るくなったっていうか…
私と同じ年くらいの子も
たくさんいたけど
なぜか学校のこととかは
全然、気にならない
…それに多分、あの子たちも
行ってないんじゃないかと思う
なんか、同じっていうか
そういう雰囲気を感じたかも…
甘いにおいがして
私は立ち止まった
「―― わぁ…ケーキ屋さんだ」
…お祝いにケーキ、買って行こうかなぁ
まだわからないけど
こんな風になったことないし
きっと、そうだもんね…
…でも、ケーキ 食べられるのかな
さっきすごい、気持ち悪くなったけど
今は、すごく食べたい
…!!
そういえばお母さん、私ができた時
みかんばっかり食べてたとか
そんなこと言ってた気がする…!
「いらっしゃいませ〜」
……
ちょっとびっくりした
においとかは、全然大丈夫
そうじゃなくて、ケーキ…
だって…『屋敷』では
いつも身近にあって、食べてたし
……アサノさまの家にいた時も
いつも周りにあったから…
これ一個で
お弁当 ふたり分 買えるょ…
「…ごッ ごめんなさぃッ
まちがえました…ッ!」
間違えたとか
へんな言い訳だったけど
これは、買えない…
そのうち、走ってることに気がついて
ヤバイ
そう思って…
走るのをやめたところに
ドーナツショップがあった…
「ありがとうございました〜!」
自動ドアの閉まる音
「…これならいいよねッ♪」
―― 白いお砂糖がけ
カラフルなチョコスプレーと
銀のアラザンがちりばめられた
ケーキみたいなドーナツをゲット!
疲れた体には糖分がいいとかいうし
リョウスケも絶対、喜ぶと思うんだ…