喫茶人形 〜メイドの恋〜
『もしも』 ってことは
たくさん頭に浮かんで来る
もしも…
あの時アサノさまが
ずっと、そばにいてくださって…
『箱入り』の日を
無事に迎えていたとしても…
…いつか私は
リョウスケを好きになっていた気がする
…だってもう
出会ってしまっていたから…
今思えば
私は、最初からリョウスケのこと
好きだったのかもしれない ―――…
それに…
「… うッ… 」
「ユキナ?!」
―――… 吐きそう
「だ、大丈夫です
ちょっと風邪ひいてて、咳とか…
…アサノさまにいただいたケータイ
部屋から…とって来ますね」
私は慌てて
車から飛び出した
鉄の階段を、急いで昇る
ケータイ、返さなくちゃ…
そう思ったのは、本当で…
リョウスケのいる前で
出したことはないし
一回も、使ったことはないけど…