喫茶人形 〜メイドの恋〜
「…え ッ …」
――… 閉めて行ったはずなのに
カギ…開いてる…
「おかえり!ユキナ!」
中から聞こえた
突然の声にびっくりしたけど
すぐにその明るい声で
リョウスケってわかって…
リョウスケは
畳に座って、なにか雑誌を読んでる
テーブルの上には
コンビニの白い、ビニール袋
――… ヘンな感じなのは
いつもは消されてる電気が
明るくついているせいなのか
いつもと同じなのに
なにか、上手くいえないけど
違う空気だからなのか…
リョウスケは、顔をあげた ―――
「…ユキナいたの、わかったから
今日稼ぎよかったし、早めに帰って来た」
「…リョ…!
ねぇ!殴られ屋ってなに…?!
ケガとかって、そのせいだょね?!」
「…ホントは普通の人のパンチとか
全部避けられるよ
でも、たまに殴らせないと
お客さんも つまんないからさ」
「わ、私…ッ」
「それよりアサノさまと
―――― 話、終わったか?」