喫茶人形 〜メイドの恋〜



目の前で
拡げられていた足が
スッと組まれる


……うぬぼれ…?

私…

なにも、うぬぼれてなんか…




「ヒロコちゃん
あっちの部屋、ちょっと見てみな」


首をグイと向けられ
ふり返ったのは 斜め向こう




そこには…すごい、カワイイ

アゲ髪に、蝶の髪飾り

薄いワンピースを着た女の子たちが

男の人に囲まれて、笑っていた…




「真ん中にいるキャバ嬢
あの子が実質今、この街でのNo.1

まあ、他の子も皆
飛び抜けてるってか
チョー可愛いだろ?


この街にはああいうのが
その辺、ゴロゴロしてる


…この前、友達かばおうとした所とかは
なかなかいい子じゃんと思ったけど


覚悟もない、イイトコのお嬢さんが
気まぐれにやって来てど〜とか…


粉々に割られた事も気付かないまま
端に寄せられてさ
忘れられて行くのが、目に見えるよ」


「…か…ッ 覚悟ならありますッ!!」


「ねえって
…前に会った時より痩せてるし
髪もめちゃめちゃ傷んでるし…
ここが、合ってない証拠」


「そ…ッ

―― え… やめてくださいッ!
離してぇ…ッ!!」




私は…店の人に
両脇から抱えあげられ…

引きずられるようにして
店の外へと、出されてしまった …――




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