喫茶人形 〜メイドの恋〜



駅前

大きな文房具屋さんで
シャーペンの芯を買う

「あ…そろそろテストだし
マジックもいるんだった…」


この時間は学校帰りの
制服カップルが多くて
笑い合いながら、自分たちの名前を
試し書きのところに書いてる


「ね〜!
これおそろいにしよッ?」

「あ?
もうケータイにつけるのムリだって
…しょうがねえなあ」

「やった♪」




…腕を組み 外へ出ていく二人に
いつかの自分たちを重ねてしまって…
…泣きそうになりながら首を振る…



だって、いくら私が
リョウスケのこと、好きでも


…リョウスケのいったこと…


あまりにも突然の別れだったし
最初は、信じられなくて


…今も信じたくない、あの話が
全部、全部ホントのことなら…


私は…彼にとって
自分をめちゃくちゃにした
憎い相手の…子供…なんだ…




…いつもはなるべく
考えないようにしてるのに…




―― 白く煙る蒸気


夢みたいにかすむ
賑やかな商店街は
そろそろ、夕暮れ ―――




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