喫茶人形 〜メイドの恋〜



「学校はどうだ?ユキナ」


「はい…!楽しくやってます!」


「もう、旦那さまったら!
空港に着いてから、連絡も入れず
電車に乗ってらしたそうなんですよ?
ひとりでここまで!」


「…サチコさん
俺はもう小学生じゃないんですから
電車くらい乗れますよ…」


おじさんが吹き出して
サチコさんは、お茶を入れながら
まだ本気で、プリプリしてる


アサノさまは
あれからまた、海外に行ってた


"どうしても自分は
留守がちになってしまうから"

"環境を変えたほうが
いろいろ思い出さないだろう"

私をのんびりとした
この町に来させてくれたのは
そういう理由だった…




そんな団欒空気を割るように
インターホンが鳴って…
サチコさんが、それを置く前に
アサノさまは立ち上がった


「…さてと!
温泉にでも入って
ゆっくりしたかったが
それは年末までお預けだ

社に戻る」


「…えッ?!」


――… もう、帰るってこと?




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