喫茶人形 〜メイドの恋〜
「ユキナ…なんかあった?」
「…ぅうん… 全然、知らない人たち」
「そりゃそうだよ
ユキナ、部活やってないし
あいつらバスケ部かなんかでしょ?
まえに誰か、万引きしてつかまったり
タバコ吸ってるとか、評判悪いよ〜」
「…あ」
――… ホントに知らない
そう言おうとしたとき
一人、トレーを持って
その集団に、加わって来た人がいた
「どうしたの…?」
「昨日…今入って来た人に
…告られた」
「あ〜」
「あ〜なるほどぉ
だからアレかぁ…フッたとか?」
「…う、ん… 断った…」
「あたしも前、似たことあって
元カノに、イヤガラセとかされて〜
つか、付き合ってないっつの
こっちはカレシ、いるんだしさぁ…」
「あ〜!あったあった〜!」
「とにかく!
気にしちゃダメだよユキナ」
「…ぅん」
その後すぐに、ドラマの話になって
そろそろいろんな番組で最終回だから
どんなラストになるのかとか
私が見てないのもあるけど
毎回、皆に話を聞くから
ストーリーは、結構知ってる
…みんな
ハッピーエンドになればいい
好きな人と離れるのは
こんなにつらいよ…
その言葉を
ジュースと一緒に…飲み込んだ…
気がつくと
食堂は、超満員
あの先輩の集団も
いつの間にか、いなくなっていた