喫茶人形 〜メイドの恋〜
「…えッ
な、なんかびっくりした
えっと、なに?俺に話って…」
駅前
辺りはすっかり夜になった
ファーストフードの二階
観光でやって来たカップルや
地元はどこも、テスト期間中だから
違う学校の制服を着た子たちとか
いつもは自分もそうだけど
騒ぎに集まった子たちばかりで
席は満員だし、かなりうるさい
…でも、こういう場所のが
いろいろ目立たないってことを
私は、あの街で学んで
ここに先輩を、呼び出したんだ
―― 目が泳いでるし
前と、なにか違う
…だけど ここで怒ったら
またヘンなウワサ流されるかもしれない
…だから私は…頭を下げた
「えッ…?!なッ
なにやってんのユキナちゃんッ!」
「――…ごめんなさい
…もし私が、この前
先輩を傷つけるみたいな
言い方とかしてたら…
ホントに、すみませんでした…」
「…えッ…」
"―― どんなにお客さまに
非があると思っても
『ドール』はまず、心からの謝罪をする"
これは『屋敷』で、学んだこと
それに自分が…知らないとこで
なにかしてしまったのかもしれないし…
「――…ッ…ユキナちゃんッ!!」
「えッ?!」