喫茶人形 〜メイドの恋〜



トントン

執務室の、ドアを叩く



「はい」

「あッ… あの、シャノンです!」

「――お入りなさい」


「は… はぃッ…! 失礼します!」



おそるおそる、ドアを開くと
リリスさまと誰かの笑い声


…リリスさまが
声だして笑ってるなんて
すごく珍しいな

お客さまなら、タイミング悪かった?



「待ってたのよ

―― こちらへ来て、お座りなさい」


「こんにちは」


…え

この声… って


大きな窓にはレースのカーテン
大きなテーブルには、お茶
ソファには ―――


「アサノ…さ…ま…?」


「やあ シャノン」



「シャノン、単刀直入に言うわ

アサノ様はね
あなたと"契約"を交わしたいと
おっしゃって下さっているの」

「……えぇッ?!」



契約…?

でも私、ここに来てから
まだあまりたってないし
ステージにだって出てない半人前

第一、アサノさんとしゃべったのだって
この間が初めて…

なんで

―――― なんで私なの…?!





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