喫茶人形 〜メイドの恋〜
誰だろう…
そう思って
体を、ドアのほうに向けた
「ユイファさ…
――― ユイさんの…お母さん!」
「…ユキナ…ちゃん?こんにちは
急にお尋ねして
…本当にごめんなさいね」
日曜日の午後
急いで片付けた
教科書とかがひろげられていた
リビングのテーブル
すぐにサチコさんを手伝って
緑茶と、みたらしダンゴを出す
「―― 離婚…することになりました」
窓の外は晴れ
庭の木から、鳥の声
「夫は元々…仕事以外頭にない
あまり家に、いない人で…
長男が家出をしてから
ユイも中学から出歩く様になって…
…実は薬も
今回が初めての事ではなくて
もう…諦めていたんです…」
「――…え…」
「それが去年…
突然連絡が入って…
明るい声で…ホントに驚いて…
"今、働いてる
友達、出来たよ"って…
"なんか…すごく普通で
あったかい子なんだぁ"って…
"憧れる"…って…」
「―――…ごめ…なさい」
「え… ユキナさん…?」