喫茶人形 〜メイドの恋〜




…お父さんと お母さんが、しんで ――


どこにも行くとこがなくて


『ドール』として働いて…


淋しくて…ヨルに抱かれて


アサノさまをうらぎって


…友達も…死んじゃった…




「――― ユキナ!!」




… それに…―――


「それ…に…

あんな状況で…
クスリ…打たれて


しばられてた時
ふ…服着てなかったし…!!


…皆…なにもいわないけど
あ…私…レイプされたんだよね?!
いろんな人に…
わたし…!!」


「―― 違う!!

いいか?
あれはクスリが抜ける時に見た
悪い夢だって、病院で何度もいったろ?!


そんな事あったら…
今、俺はこうしてここにいねえよ!!

全員ぶっ殺してる!!」


「りょ…」




「…トオヤマさんが
連絡くれたんだ…

姫の送りの仕事…紹介してもらってて
だから、あの場所に行けたんだ

感謝…しなきゃな…」


「…ぅ…そ…」



「ユキナ…

どうしようもないことって
やっぱ…あってさ…

でも、だからこそ
もうお前と、離れたくねえんだよ…!」




それは…

いつも笑顔のリョウスケがみせた
初めての 涙 …――




「…俺さ…」


「ぅ…ん…」


「一緒に暮らしてた時…
なぁんにもない部屋だったけど


…帰って来ると、お前がいて…
マジで嬉しそうに笑いながら
一生懸命コップにお茶…
ついでくれてさ…


だから俺…
がんばれた…

それ思い出して…
なんだって…出来たんだ…」







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