喫茶人形 〜メイドの恋〜



さみしい…


さみしいよ…リョウスケ…




もう少しで



その手をつかもうとしたとき




「―― ユキナ!」


勢いよく
ドアを閉める音


いそぎ足の靴音が響いて
私は手をひかれ、その場から離された







「―――…アサノさま…?」


「遅れたな 済まない」


「……」




あぁ、私きっと…


アサノさまが
もう少し遅かったら


あの人に、ついて行ってたなぁ


…きっと…


でも別に、なんにも思わない




…べつにいいや




生きてる意味とかも、全然わかんないし




もういいょ…




なんでもいい…




…どこか
行きたいなぁ




どこかってどこだろ…




ここじゃないとこなら
どこでもいいや…




だって、どこ行ったって




―――…もう…いないし…







「―――だァッ!! 行けッ!!!
そこだッ!!リョウスケッ!!」


「ボディだボディーッ!!」




―――― え…








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