喫茶人形 〜メイドの恋〜



店では会えないから
駅前の、喫茶店で待ち合わせ


サラリーマンの人がたくさんいて
コーヒー飲みながら、のんびりしてて


向かいの席には、すごく可愛い女の子と
楽器持った男の人たちが
楽しそうに笑いながら座ってる




「――― ユキナ、久しぶりね」


「リリスさま!お久しぶりですッ!」


「もうその呼び方はやめましょ
ユキナ、窓側の席に行きましょうか」


「はい!」




わたしはアイスティー
リリスさまは、アイスコーヒーを頼んだ




久しぶりに見る
普段着姿のリリスさま


綺麗な爪


長くて、細いタバコ ―――




「それは女には、何も出来ない事ね
あきらめなさい」


「… リリスさま!」


「そして彼が何か言って来たなら
黙って聞いてあげなさい

それで彼は、充分だと思うわ」


「――― はい…」


「それよりユキナ
本当にいいの?」


「… え」




「結婚式の事

アサノが海外から戻って来るまで
延期するなんて言って」


「はい…!
… わたしがこうしていられるのは
リリスさまとアサノさまのお陰ですし」


「昔から変人だったけど
遺跡発掘にまで手を延ばすなんて
何を考えてるのかしら、あの男は…」


「あははは!」


「まあ…
仮にマタニティドレスで
結婚式なんて事になっても
あの子に作らせればいい話だし」


「お元気ですか?!ナギさん!」


「”箱入り”決まったわよ」


「ホ…ホントですかッ?!」


「ええ
他の店の皆も、とても元気

ユキナの様子を、いつも心配してるわ
それと新しい子達も
どんどん入って来たわね」


「――… あ…」




< 383 / 391 >

この作品をシェア

pagetop