喫茶人形 〜メイドの恋〜
リョウスケに手を引かれて
歩き出した
大きな車がとまってて
中から…出て来たのは
「アサノ…さ、ま」
すごく心配そうな顔で
走って来てくれて
私のこと、抱きしめてくれる
運転席には、運転手さん
リョウスケは助手席に
私はアサノさまに肩を抱かれ
後ろの席に、二人で乗った
「…しばらく辺りを走ってくれ」
「かしこまりました、旦那様」
車が動き出して
…動けないままの
ヨルの目の前を通る
スモークが貼られてて
中は見えないはずなのに
まるで見えてるみたいに
ずっとずっと、こっちを見てた ―――