喫茶人形 〜メイドの恋〜
高台を降りた所で
急にドアが開いて
ぼーっとしていた私は
アサノさまに、手を引かれた
…絶対『屋敷』に
帰されると思ってたのに
「いらっしゃいませ
お待ちしておりました」
ガラスのショーウインドー
赤いジュウタン
こんな真夜中に開いてる
キラキラした洋服屋
スーツを着たお店の人が
アサノさまに、おじきをしてる
中に案内されると
キレイな服やドレス
な、なんか…すごく高そう
「…ぁ…あのッ!
アサノさま、ここは…?」
「…別荘にあった服は
少し、オヤジ趣味だったかもしれないな」
「――…え
アサノさまは、まだ全然
お若いじゃないですか!」
「そ?」
「ですょ…?」
「じゃあ今日は
そう言ってもらったお礼に
好きな服を、何着でもどうぞ」
「―――…えぇッ?!」