喫茶人形 〜メイドの恋〜
潮風に
サテン生地のスカートが
ぱたぱたと舞う ―――
髪を おさえた
「 …海 」
木がたくさん生えた
広い公園
手すりが、その公園と海との境界
ザザー…
ザザザザーー…って
ずっと、音がしてる
リュウスケは
とても気持ち良さそうに
手すりにつかまって、風を浴びてるし
アサノさまは
ズボンのポケットに手を入れて
私の横に立った
「あの… そういえば…」
「ん?」
「アサノさまは
何のお仕事してらっしゃるんですか?」
「それは俺との
『契約』を前提としての質問?」
「あ…」
「いや、すまない
そんなこと聞いてくれるのは
初めてだから、嬉しいんだ」
アサノさまは、優しく笑い
私は胸が なんだかギュッとして
下を向いてしまった…
「…ダイヤモンドや
宝石の採掘鉱をいくつか持ってる
さっきの店も含め、他にも色々とね
結婚式に、大きな指輪くらいは
プレゼントしてあげられるよ」
左手に…
お姫様にするみたいなキス…
「アサノさま…」
「シャノン」
「…はい」
「名前、教えて…?」
「…ユキナ」
「ユキナか」
「…はい」
「綺麗な名前だね ユキナ…」
「あ…」
―――… アサノさまは、優しい…