喫茶人形 〜メイドの恋〜


「なるほどぉ
…だから皆になにも言わないで
急に『箱入れ』されたんだ…」


「…『箱入れ』って何です?」


「ドールとマスターが契約して
ここから出て行く事よ

普通
『箱入れ』の後は…

屋敷から門までの道中を
ドールが豪華なドレスで歩いたり
盛大なパーティーを
三日三晩、開いたりするの

…それしないのは、なんでかなぁって
ずっと変に思ってたのよね…」


「うんうん

でも田中様、地味お好きだから
それでかなと思ってたんだけど…」


「なんかひどくなぁい?
ユイファは悪くなくない?」


「うーん…
うちら的には、普通の事だけど
『外』の人達には、ね…
契約違反なのは
どっちもどっちっていうか…」


「あー、そっかぁ
まぁ… でもさぁ…」



「―――― こら皆!
おしゃべりは、そこら辺にしとこうよ!」


手をパンパンと鳴らしながら
加速していく騒ぎを、ナギさんがとめた



「私らは
同じ屋敷の中で働いてるドールだ!
こんな時だからこそ
仲間って大事だと思う!

ユイファには、身寄りがない
だから…

回復次第だけど
またここで働くようになるだろう

その時にはまた、前と同じ様に仲良くしてやって欲しいんだ!」





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