喫茶人形 〜メイドの恋〜



カタン…



午後の庭

静かな 夏の風に吹かれながら
物音にゆっくり 顔をあげると


アサノさまの肩越し ―――

白い格子の部屋の中に立つ
ポットを持ったリョウスケと 目があった



「…ぁ…ん…ッ」



…レースの長い、カーテンがそよいで


乱れた呼吸のまま…

次にアサノさまの肩から
顔をあげた時には…

リョウスケは奥に入ったみたいで
もう、姿がなかった…




――… 別にお互い 驚くわけもない


だって私は『ドール』だし
彼は『庭師』だ…



こうして『ご奉仕』しているところは
毎日 夜の『屋敷』で見てるんだもの…




< 84 / 391 >

この作品をシェア

pagetop