私の好きな人

また何もない日が進むのかと思ったが…


「……っ⁉︎」

「な、蛍!」


いつもどおり、恭也の側で
街の見回りをしていたら

後ろから急に現れた車に僕は乗せられ
恭也から離れた


恭也もこれには予想してなかったのか
慌てた様子で蛍の名前を呼んだ


僕は作戦通りだと思い
一緒に車に乗っているヤツらに反抗した


「ど、どこを連れて行くつもりなんですか⁉︎ 降ろしてください!」

「久しぶりだね、遥さん」


僕の隣には、見覚えのある顔の男がいた
爽やかな笑みを浮かべ、僕を見て言ってきた


「へぇ…
よく、僕が蛍じゃないと分かったね?」

「そりぁ、分かりますよ
同じ顔でも色気は隠せてませんからね?」


本当に相変わらず…
怖い男だ


「本当に久しぶりですね…
10年振りくらいですか?」

「それくらいだね…」


この男…
一ノ瀬 辰也とは
しばらく一緒にいた期間がある

この笑みで分かるとおり
胡散臭くて、自分に逆らうヤツは殺すほど怖い男だ

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