私の好きな人

「僕の娘……?」


お母さんは離そうとしないお兄ちゃんから逃げ、私に近づいてきた


「な、なに…?」

「僕の娘…!!
ホントだ…
この子は間違いなく僕の娘だ…!!

嬉しい…っ
僕の家族がまた増えた!!」

「……えっ…!?」


お母さんは私の頬を手で抑え、私の顔をじっくり見ると私を抱きしめてきた

私は生まれて初めてお母さんの温もりを感じた気がした


「雫…
僕の可愛い娘…

僕の大事な家族…っ」

「お、お母さん……?」


私は戸惑っていた
今までこんなにお母さんから温かい言葉や温もりをもらっていなかったから…

私はどうすればいいのか分からなかった…


「遥、女は嫌いじゃなかったのか…?」

「嫌いだよ
だけど家族ってなると別だよ
女だろうと関係ない

女だけが嫌いなら
僕は洸を嫌ってるはずだよ?

僕は愛する家族は女だろうと愛するの!

ああ…でも…
そこにいる家族を殺すようなまねをするヤツは嫌いだけどね?」


お母さんは私から離れると蛍さんを睨んでいた


家族を殺すようなまねをするヤツ…?
蛍さんが…?


私はお母さんの言葉が信じられなかった…

だって誰にでも優しい蛍さんが…
家族を殺すようなまね…するはずないから…

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