私の好きな人
「………つか…さ…?」
「……気がついたか?」
遥は俺の腕を手に取ると、少し悲しげに俺を見てきた
記憶が戻ったようだな…
よかった…
「…………司、僕…」
「……どうした?」
遥は涙目で俺の腕を握ってきた
どうしたんだ…?
もしかして、さっきのことか…?
昔の嫌な記憶を思い返したからか…?
「………っ…つか、さ…
僕…っ…照く…いや…一ノ瀬組の組員に…っ」
「遥、もういい…
もういいから…今は寝てろ…」
俺は遥の言いたいことが分かり、遥の言葉を止めようとした
「……僕、こうなること分かってたんだ…
だけど…っ…何故か、いつもの僕になれなかった…
それに気づいた奴等は…っ
僕を試した…
僕、必死に抵抗した…っ…で、でも…
無理で…っ…」
「分かったから…
もう分かったから…」
遥は涙を流して、俺に伝えようとしていた
言わなければいいと思わなかったのは…
俺に隠し事をしたくなかったからだと分かった
今の遥の心には、たぶん…
俺に嫌われるのではないかと思っている
絶対にそれはないのにな…