私の好きな人
「なんでお母さんは…
慶都の気持ちを受け取らなかったの…?
慶都って好きな人には一途で優しいのに…」
ずっと疑問だった…
何故、あんなにカッコイイ慶都を選ばないのか…
「僕の誘惑に負けたからだよ
僕のことを知らないまま、僕の誘惑にまんまと引っ掛かった
そんな男を好きになれると思う?」
お母さんは真顔で言ったあと…
すぐに、いつものへらへらした顔に戻った
「じゃあ、今の慶都はいいってことだよね?ねっ、遥?
雫ちゃんをきちんと理解した上で好きになったんだから」
蛍さんは、ニコッと笑って私たちを見て言った
なんか嬉しい…
他の人の目から見ても…
慶都は本気で私のことを好きになってくれたんだと…
嬉しい…っ
「……っ…僕は納得してないからね…っ!
慶都に僕の大事な娘を渡したこと!」
「………お母さん?」
「雫ちゃん、これが本当の遥の意見だよ…
遥は雫ちゃんに冷たくしていたのは…
自分みたいな人になって欲しくなかったためなの…
嫌われたら、自分みたいにはならないと思っていたの
遥は本当は雫ちゃんのこと大切に想っているの
遥は家族をなにより愛しているから」
蛍さんは、混乱していた私に優しく
お母さんのことを話してきた
嘘…
そうだったの…?