ハッピーアワーは恋する時間
「・・・ぅ・・・」
「気がつきましたか。よかった」
「あのっ!ここ、は・・・」
「急に起きてはダメです。まだ寝てなきゃ」

女の人の口調や顔は、とても優しいんだけど、起きようとした私を制した手つきは、優しい中に断固そうさせないという意志の表れを、確かに感じた。

「ここは私のお店の一室です」
「あぁ私・・・倒れちゃったんですよね。すみません、ご迷惑をおかけして」
「迷惑だなんてとんでもない。ただ、あなたはどうやら、空腹のために倒れてしまったようですけど」
「あ・・・え?っとー・・・」

ホテル泊まりになってから、お金を節約するために、全体的に食べる量を減らしてたからなぁ。
今日は朝から何も食べないまま、職探しに奔走してたし・・・。

でも、いくら私を助けてくれた人とはいえ、正直に説明するのは・・・恥ずかしい。

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