ハッピーアワーは恋する時間

「あなたは確か、昨日もこの辺りを歩いていましたよね？」
「え？」
「それに昨日と同じ恰好と靴。その服装から察するに、どうやら仕事を探していらっしゃるようですが」
「あ・・・ぁ・・」
「私は人をよく見ているんですよ」と言ってニッコリ微笑む女の人を、私は寝ている状態でマジマジと見た。

この人、一体何者！？
何となく丁寧な口調に、上品な物腰。
それでいて鋭い観察眼。
おっとりしたお嬢様、という見た目と中身のギャップが少々アリなんだけど、不思議と不快には思わなかった。

むしろ、すごく魅力的な人だと思う。

「お嬢様っ。詰問はそれくらいにして、お昼をいただきましょう」
「まぁ。詰問だなんてそんな・・・もし、怒らせてしまったのなら謝罪します。ごめんなさ・・」
「いいえっ！怒ってないですから！ホントに！」
「あらそう。よかった。実は、私たちもまだお昼を食べていないんです。一緒に食べましょう」
「え。で、でも・・」
「佐久間が作ったおにぎりは、とても美味しいの・・・いえ、おにぎりだけじゃなくて、佐久間はお料理がとても上手なのよ」
「はぁ・・・」