ハッピーアワーは恋する時間
・・・この人が「佐久間さん」か。
スラッと伸びた長身、ハッキリ整った顔立ち。
おにぎりを乗せたお盆を持っている姿に、かなりのギャップを感じたのは、ほんの一瞬のことだった。

この人って、全然料理できないというか、しなさそうに見えるけど・・・でも、本当におなかすいてるという状態を抜きにしても、佐久間さんが作ったおにぎりは、とても美味しそうに見える。

「さあ、遠慮しないで」と女の人は優しく言いながら、私をそっと起こすと、いつの間にか用意してくれていたおしぼりを、私に手渡した。

「大丈夫?めまいは」
「ないです。大丈夫。ホントにすみません」
「そう。じゃあ、まずはお一つ、召し上がれ」
「はい。では・・いただきます」

私が食べ始めたのを見届けた二人は、ニッコリ笑いながら「いただきます」と言うと、おにぎりにパクッとかぶりついた。

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