ハッピーアワーは恋する時間
思ったとおり、公園ではキャンプファイアーをしていなかった。
でも・・・・・お肉を焼いてるグリルから出てくる煙が、思った以上に多くて・・・あぁダメ!

おなかすいてるけど、自分からグリルの方へ行けない!

紙皿を持ったまま、その場に立ちすくんでいる私の窮状を知らない亜幸さんは、ニコニコしながら、なかなか動こうとしない私の腕をそっと掴んで歩き出した。

「何ボーっと突っ立ってんだよ。腹減ってんだ・・・どうした」
「あこうさ・・わたし・・こわぃ・・」
「怖い?何が」
「け、煙・・・」
「分かった。じゃああっちに行こう。歩けるか?」

亜幸さんの声が、いつもよりもっと落ち着いてて・・・優しく聞こえる。
それだけで安堵した私は、コクンと頷いた拍子に、ホロリと涙が流れ出てしまった。

< 93 / 137 >

この作品をシェア

pagetop