【短編】愛トキドキ憎しみ
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「玲花〜お昼食べよ〜!」


「ごめんっ、今日はちょっと用があるから!」



亜美たちの誘いを断り、私は久々に中庭に来ていた。


ここで、四人一緒にご飯食べていたんだよね。



あの出来事から1週間――。


私たちはみんなバラバラになった。


私と慎司が別れたことは、翌日には学校中の噂になっていた。


あれだけパフォーマンスすれば、ね。


だけど人の噂も何とやら。


あっと言う間に流れた噂は、今ではすっかり落ち着いていた。



同じクラスの慎司とは、今ではただのクラスメイト。


別に避けたりするわけでもなく、挨拶を交わす程度。


同じ空間にいることがたまにつらくなったりするけど……。


そう言えば、私が誰と浮気したかなんて聞いてこなかった。


多分、気づいているんだと思う。


それに、智輝が慎司に黙ったままなんてできない気がする。


それでも私に何も言ってこないのは、慎司の優しさなのかな。



校舎の違う智輝とはめったに会うことがなくなった。


あの後、一度だけきたメール。



『つらくなったらいつでもおいで』



って。


私はそのメールを保存して、今でも支えにしている。


……結局、今でも私の気持ちは二人に向いたまま。


行き場のない思いは、蓋をして心の中に閉まっている。



そして、千理とは……。



「久しぶり」




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