【短編】愛トキドキ憎しみ
気づいた感情
「慎司ってモテルよね〜」
口を開いたのは小さくて可愛い千理。
性格は……えっと……うん。
まぁ、いい性格してる。
「けど、あいつは玲花しか見てないから大丈夫だよ!」
肩をポンポンッと叩いて励ましてくれるのは、優しくてお兄ちゃんみたいな存在の智輝。
慎司に負けないくらいかっこいいのに、女を作らないんだよね。
私と慎司と千理と智輝。
学校の昼休み。
いつものように四人で裏庭のベンチに座って、昼食を食べている時のことだった。
他のクラスの子に呼ばれた慎司はついていった。
告白……なんだよね、きっと。
その場で断らずに話を聞きに行くっていうのも、慎司の優しさだとは思う。
だけど……。
「ついていく慎司も、呼び出した女も、玲花の存在知ってるくせにありえないよね〜」
そんな千理の言葉に胸が痛む。
はぁ……。
慎司が浮気するわけないって信じているけど、不安になってしまう。
あ〜っ、もう嫌っ!!
うじうじするなんて私らしくない!!
……恋って人を変えてしまうって本当だったんだね。