この恋心に嘘をつく

「これは戻して、これはコピーして――」


分厚いファイルは、1冊1冊は大した重さではないが、集まるとかなりの重さになる。

これを資料室に戻すとなると、腕が筋肉痛になりそうだ。


「この資料はファイルに綴じる。あ、来客用のお菓子を買いに行かないと」


時間を確認し、デスクの上を急いで片付け始める。

明日の来客用に、羊羹を買いに行かなくてはならないのだ。
初めて会う方だが、取引先のファイルで情報だけは得ている。


「でも、これをコピーしておかないといけないし…」

「私がやっておきましょうか?」

「朝田さん…」


通り掛かった朝田が、騒がしくて立ち寄ってくれたのだろう。


「でも、コピーした後に総務に出しに行かないといけないし…私の仕事だから」


朝田は、少し苦手だ。
彼女も、凛子をあまり好きではないように思う。

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