この恋心に嘘をつく
「いいのよ、ついでだから」
「あ…」
強引にファイルを取られ、頼むしかなくなってしまう。
「じゃあ、お願いします」
「えぇ。任せて」
少しの不安を胸に、凛子はその場を後にした。
老舗の羊羹は、1本で3000円もするから驚きだ。
自分じゃ絶対に買わない。
「それ、来客用の?」
「あ、はい」
給湯室の冷蔵庫に、きちんとメモを貼っておいた。
「あんなに高い羊羹、初めて見ました」
「私も最初は驚いたわ。皆、当たり前みたいな顔で買うから」
満理が自分のマグカップに、お湯を注ぐ。
「でも、美味しいのよ」
「食べたことが?」