この恋心に嘘をつく

「いいのよ、ついでだから」

「あ…」


強引にファイルを取られ、頼むしかなくなってしまう。


「じゃあ、お願いします」

「えぇ。任せて」


少しの不安を胸に、凛子はその場を後にした。




老舗の羊羹は、1本で3000円もするから驚きだ。
自分じゃ絶対に買わない。


「それ、来客用の?」

「あ、はい」


給湯室の冷蔵庫に、きちんとメモを貼っておいた。


「あんなに高い羊羹、初めて見ました」

「私も最初は驚いたわ。皆、当たり前みたいな顔で買うから」


満理が自分のマグカップに、お湯を注ぐ。


「でも、美味しいのよ」

「食べたことが?」


< 105 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop