この恋心に嘘をつく
でもね、その壁を打ち壊す自信がない。
今ならまだ、お互い忘れるのに時間はかからないから。
(追いかけては来ない、やっぱり)
もっと頑張れば良かった?
でも、どうやればこちらを向いてもらえただろう?
どうすれば、その壁を壊せただろう?
努力が足りない、我慢が足りないと言われれば反論はできない。
振り返りたくなる気持ちを抑えて、凛子は歩き続ける。
環は最後まで、その場から動かなかった――。