この恋心に嘘をつく
「凛子!」
「え? あ、何?」
耳元で名前を呼ばれて、ようやく美晴の顔を見た。
怒ってる。
「私の話、聞いてないでしょ?」
「ご、ごめん…」
呆れたように、美晴がため息をつく。
「――いいわよ、もう。それで、今後の予定は?」
「またバイトかなぁ」
就職活動を、また再開しないといけない。
でもその前に、収入源を確保しなければ。
「……」
「後悔してるの?」
「さぁ、どうかな? わからない」
凛子が笑うと、美晴は心配そうな顔をした。
「もう、終わったことだもの。忘れるわ」
それが一番、賢い選択だと思う。