この恋心に嘘をつく
求人広告を見つめながら、凛子はため息を漏らす。
環は今、何をしているのだろう?
(ダメね、思い出すなんて)
忘れた方がいい。
そうすれば、新しい一歩を踏み出すことができるのだから。
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安生 凛子は、休暇を取っている。
秘書室では、そういう扱いになっているが、勘の良いものは気づいていた。
安生 凛子は辞めたのだ、と。
「室長、専務のスケジュールなんですけど――」
「担当は貴女ではないでしょう?」
観月の言葉に、羽村が言いにくそうな顔をする。
「でも、安生さんはお休みですし…」
「彼女が休みの間は、なるべく私が受け持ちます。他の者も、よいですね?」