この恋心に嘘をつく
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「専務。私は、小言を言うつもりはありません」
専務室、観月は冷静な声で告げる。
環はファイルを開き、観月を視界から追い出しているが、ページが変わる気配はない。
「ですが、聞いておきたいことはあります」
「……」
「彼女は、本当に休暇ですか?」
「……」
休暇だと秘書室に連絡したのは、他ならぬ環だ。
休暇の理由は、告げていない。
「では、聞き方を変えましょう。何故、休暇だと言われたのです?」
「それは……」
何故?
彼女は辞めると言った。
ならば、辞めたと正直に伝えればいいのだ。
なのに、環は言わなかった。
隠すかのように、認めたくないかのように、ただ休暇とだけ。