この恋心に嘘をつく

もしかしたら、新手の詐欺かもしれない。

だって、こんな話、普通はあり得ないし、信じられない。


何度も考えてみたが、結局のところ、答えなんか出なかった。


「……はぁ」


ため息をつきながら、凛子は席へと戻る。

環を見れば、相変わらず真意の読み取りにくい笑顔を浮かべていた。


「さて、料理が来る前に、少しだけ質問しても?」

「…面接、ですか?」


ファミレスで?

履歴書もなく?


いろいろと突っ込みどころはあるが、そんなこと今更か。


「君を知りたいだけだ。名前は知ってるから――年齢を聞いても?」

「23です。大学は文学部を出ました」

「そうか。今は、コンビニのアルバイトだけ?」

「はい」


< 39 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop