この恋心に嘘をつく
ずっと聞きたかったのだろう。
顔が嬉々としている。
「本心を見せない人、ね」
「数回会っただけで、言い切れるの?」
フォークを手に、パスタを一口。
フレッシュなトマトソースが、とても美味しい。
「笑顔が多い人だと思ったんだけど、最初は。でも、話してる内に、そんな単純な人じゃない、そう思った」
本当に、笑顔が多い人。
思い出してみれば、ほぼ笑顔の彼しか浮かばない程に。
でも段々と、その笑顔を疑う自分に気づいた。
この笑顔は、本物だろうか、と。
「肝心な事を簡単には話さないから、多分、信用を得るのは時間がかかるかもね」
「ふ~ん…。つまり、面倒臭い男、ってことね」
バッサリと言い切る美晴に、凛子は苦笑してしまう。