この恋心に嘘をつく

これもこれで、重い。

どんなに些細な贈り物でも、調べてみれば深い意味があったりする。

そういうのを知っていくのは、とても楽しい。


「それを聞いたら、時計を受け取れなくなるな」

「束縛されたくない、ってことですね」


環を知るチャンス!

とばかりに、話を続ける。


「と言うより、恋愛にあまり重点を置いてない」

「シングルですか?」


環が頷くと、凛子は本気で驚いた。

まさか、フリーだとは。


(いや、選り取り見取りだから、相手がいないのかも)


その気になれば、すぐに恋人は見つかるだろう。

むしろ、女性の方から近寄ってきそうだ。


「お待たせいたしました」


店員がカードを返し、深々とお辞儀をする。


< 74 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop