この恋心に嘘をつく
できる女性を、絵に描いたような人だ。
「安生さんのデスクは、ここです。専務付きになれば、デスクは専務室の方に移しますが、まずは秘書室で、基本的なことを学んでもらいます」
案内されたデスクは、必要最低限のものしか置いていない。
荷物を起き、まずは隣の人に挨拶する。
「安生です。よろしくお願いします」
「よろしく。羽村 みこよ」
ふわふわとした髪が可愛らしい羽村は、秘書というより、受付嬢が似合いそうな女性だ。
「“みこ”じゃなくて、“よしこ”でしょ?」
からかうような声に、羽村が勢いよく立ち上がる。
「その名前で呼ばないでよ!」
「ホントの事じゃない」
良く分からない。
結局、どっちが本当の名前?
混乱する凛子に、耳打ちする秘書がひとり。