この恋心に嘘をつく

「そうなの…」


驚く羽村に、益々意味がわからない。

重要な事なのだろうか?


「もしかして、仕事に関係あります?」

「え? あ~…ううん! 気にしないで。あ、今聞いたことは忘れて。そうそう! 観月女史――室長のことね。あの人は、社長付きで…」


怪しい。
わざとらしい話の逸らし方に、凛子の疑問は深まるばかり。


(専務派…。派閥という意味?)


けれど、ここは会社だ。
政治の世界ならわかるが、ここは大企業と言えども普通の株式会社のはず。

派閥があるというのも、少し大袈裟すぎる気がする。


(考えすぎ、かな…)


羽村に聞いてみようと思ったが、止めた。
今はそんな事より、仕事を早く覚えなくては。


< 81 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop